「1988南アジアの旅」


 この写真展のテーマとなっている1988年は、私にとって大きな転換の時期でした。その1年のうち2ヶ月を費やした南アジアへの旅は、その大きな転換の最も象徴的なものとなりました。はじめて訪れる外国が、まさかインド、ネパール、スリランカになるとは夢にも思いませんでした。まずそれ以前に、自分が海外に行くことすら想像もしなかったのに。
 訪れる最初の国となったインドに旅立つ決心をしたのは、成田を発つ約半年前の、ある人物の「インドにいってみれば。」という一言の助言がきっかけでした。今から思えば、それは私の人生を変えた一言でした。そういう決心ができたのは、それほど当時の心境が浮遊していて空虚なものだったからかもしれません。
 当初、旅行期間は約1年にしようと漠然と考えていました。すすめられたインド、そのインドに疲れた時休めといわれたネパール、そして友人のいるスリランカを訪ねましたが、他にもパキスタンやミャンマーにも訪れてみたいと考えていましたので、時間は相当かかると考えていたからです。しかしスリランカでパスポートを盗まれ、出発から約2ヶ月後の帰国を余儀なくされました。前述の通り、この旅を境に私の人生は大きく変わりました。特に、私の内面的なものの中に大きな変革が起きていました。その善し悪しは今もって定かではありませんが、この旅が今でも私自身に与える影響は大きいことは確かです。
 この旅をするにあたって、実にたくさんの方々にお世話になりました。なかでも伊藤さんご夫妻には言葉で言い表せないほどたくさんののご支援をいただきました。その伊藤さんから今回の写真を一緒にやらないかと誘いを受けました。初めはどうしようかと迷いましたが、伊藤さんの熱意もあり、自分でもいい区切りになると思い、思いきってお世話になることにしました。写真は全くの素人で稚拙であります。しかしながらその内容はこのあたりではお目にかかれないものもあるので、そのめずらしさでなんとか見ていただこうと思っています。